中部銀次郎「ラウンドの心」其の二

「ミスショットを前提に

ミスしても安全なところを狙う」

 中部さんはゴルフをするきっかけは、子供の頃に体が弱く、健康になるようにと父親が中部さんにゴルフをさせたことにある。「ゴルフをしなければ、とっくに早く死んでいましたよ」とも言っていた。それ故に、体のハンデというものをいつも感じていた。

「体は小さくて細いし、運動神経だってない。ボールは飛ばないし、しかも芯にも当たらない。いつもヒール寄りに当たっている。音も悪いし、スイングも悪い。良いところなんて本当にないんです」

中部銀次郎

 中部さんにそんなことを言われてしまうと、一般のアマチュアは何をかいわんやだが、そうしたことが中部さんに慎重なゴルフ、安全なゴルフをもたらしたとも言えるのだ。

「私のゴルフなんて、芯に当たらないんだから、ミスショットが前提です。だから、どんなミスが出るかを考えて目標を決めていました。大きなスライスが出そうなら、目標はウンと左になる。ダフって池に入りそうなら、大きめのクラブを持つわけです。常にミスを回避する。そうした慎重で安全なゴルフが、私にタイトルをもたらしたんです」

 一見、ネガティブシンキングに思えるが、それが中部ゴルフの真髄だったのかもしれない。

「ミスを前提に組み立てていけば、バーディは取れなくてもパーではあがれます。ミスショットをつなげていってパーを拾うわけです。でもそれができるようになれば、強いゴルフができあがります。負けそうで負けないゴルフです」

 我々、普通のアマチュアであれば、ミスを前提にプレーすれば、ボギーではあがれるということだろう。

「自分をよく知って、欲をかかずに謙虚にプレーすることです。ミスをしてもそれが自分と割り切る。ナイスショットが1つもないのにパーであがれる。そうしたゴルフが一番強いんです」

 ミスばかりでも、ダボを叩かないゴルフ。我々はそれを目指さないといけない。

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