百打一郎と申します! 第2ステージ第8回 

『4ないゴルフの禅問答』

 正治さんは私に禅問答を投げかけてきました。

 スコアをよくしようと思ったら、「飛ばさない」「乗せない」「寄せない」「入れない」の「4ないゴルフ」が重要なのだというのです。初めて聞く言葉だっただけに驚きましたが、これは一体、何を意味しているのでしょうか。

 強く打って飛ばそう、無理してもグリーンに乗せよう、ピンに寄せよう、カップに入れようとして強く打って、結果は大叩きしてしまうというわけです。まさに苦節15年、108打ゴルファーが陥る皮肉な結果になるわけです。

 つまり、飛ばしたい、乗せたい、寄せたい、入れたいの4つの「欲」をなくせばよいゴルフができるというわけです。「欲」は煩悩です。煩悩をなくせないから108打を叩いてしまうのです。よって、この「欲」の考えから抜け出ることができれば、100切り、90切りまでは可能だと正治さんは言います。

 ボビー・ジョーンズは飛ばないヒッコリークラブで260ヤードのロングドライブを打っていました。スイングは脳が筋肉を動かすことで生じます。そこには様々なテクニックが必要ですが、究極の極意は「脱力」だと言われています。

彼は「ゆっくりスイングしなさい」と言っています。しかし、実際の彼のスイングは驚くほど速かったと言われています。しかし、それは「脱力」の結果なのです。ジョーンズの感覚の中では、極めてゆっくりスイングしていたのです。

 サム・スニードは「ワルツのリズムで」とか「グリップは両手でひよこ包むように」と言っています。これはグリップに力を入れず、腕を柔らかく使ってスムーズにスイングすることを表しています。

 ゴルフは矛盾した動きのスポーツと言われています。力を入れれば飛ばない、ゆっくりしたスイングは飛ぶ。「4ないゴルフ」の「飛ばさない」が実は飛ばす秘訣なのです。この矛盾を理解するために月いちゴルファーは、私、百打一郎が取り組んでいるような様々なドリルに挑戦し、どこかでヒントをつかみ、それを育てていくことが大切だと思います。

 正治さんが言います。

「チャレンジしたことに無駄はありません。2年後、3年後にはっと気づくこともあります。人生と同じだ」と。

 年配のご夫婦がゴルフを習い始めると、奥様の方が早く上手になるそうです。

これは「飛ばさない」「乗せない」「寄せない」「入れない」を、自分が感じたフィーリングで実践しているからです。ご主人はパワーもあり、男のプライドもあるために、力みが入って大叩きしてしまうのです。ゴルフは人生ドラマともいえますね。

「4無いゴルフ」を実践している人には簡単なことであっても、見ている人にはその感覚を理解することは非常に困難なことです。試行錯誤して、ある日突然会得できるのかも知れません。この矛盾を解きほぐすプロセスに、ゴルフの醍醐味があるのかもしれません。

 正治さんは言います

「上達のプロセスに正解はないのです。頂きに登るルートは無限です」と。

 ボーンゴルファーは球数を打ち、ラウンド数をこなして、この矛盾を乗り越えます。しかし、月いちゴルファーはそんなことはできません。それだけに月いちゴルファーに対してのレッスン書がないわけです。

 正治さんの教えで、果たして、私、百打一郎はどのような答えに辿りつくのでしょうか?

                            (次週に続く)

文●久富章嗣 編集●島田一郎(書斎のゴルフSTAFF)

※このたび、久富さんのドリルを集めた本『月3回の練習で100を切る!久富ゴルフ・レッスンブック』の電子版がアマゾンより発売されました。オールカラーの改訂版です。『百打一郎と申します!』がよりわかりやすくなること請け合いです。

PAGE TOP